冬枯れ銀紅葉グラール1
冬枯れ銀紅葉グラール2冬枯れ銀紅葉グラール3



この作品は第一回個展『逢魔ヶ刻、猫は跨ぐ。世を』展の為に制作された作品です。
丁度紅葉が彩られる10月頃、秋でした。
紅葉をモチーフにしようと思い立ち、どういった技法で表現するかを考えました。
吹きガラスを始めて3、4年。自分の思い描く形にある程度近づける事が出来た頃です。
かねてよりやりたかった、吹きガラスと彫刻を融合させる『グラール』という技法に挑戦する事にしました。

製作工程としては、
①ガラスの卵のような形を作り上げ、熱を帯びた状態で銀箔を巻きつける→一晩徐冷
②出来上がった銀箔卵にサンドブラスト(彫刻)技法で、紅葉のデザインを彫る。
③紅葉のデザインが彫られた銀箔の卵を数時間かけて、540度迄熱上げ
④竿先につけて、溶解炉に熔けている1200度の透きガラスを巻き取り成形→数日かけて徐冷(作品が大きい為時間をかける必要がある)
と非常に複雑で、難易度も高いものでした。
ガラスとガラスの間に挟まった銀箔の紅葉デザインが崩れないように吹き上げたり、温度管理などに特に神経を使いました。
また、過去にこれまでに大きく、重い作品を作った事は無かったのでこの作品は新たに展開していく大きな作品制作への第一歩となりました。

秋のイメージ作品ですが、内側の色にあえて松葉色(ダークグリーン)を採用しました。
この松葉色は、日本産で和の色をイメージした色になります。
銀と組み合わせる事で、冬入りする直前の秋の時期、落葉を想起させ、ものがなしい雰囲気を醸し出しています。

長い時間をかけ漸く完成した作品ですが、元々は、猫を彫る予定でした。
しかし、出来上がったこの作品に相応しい猫のデザインが思い浮かばなかった為、このままの形にする事にしました。